2017年11月26日日曜日

カナダ珍道中DAY2

今日はいよいよカナダはバンクーバーへ出発だ。

カナダ国境越えは私たち家族にとってはまさしく難関。デビ男は過去に反戦デモで歌ったことによる逮捕歴で移民局から目をつけられている。いつも他の人がスムーズにカナダ入りするのを横目に、私たちは車を移動させられ、降ろされて、別室で待たされる。その間車の中を隈なく物色される。

エベレットのホテルを出発する時間になった。また最初から荷物をバンに詰めなければならない。デビ男はこういうのにすごく慣れているので、彼に全部任せていたのだが、ふと、バンのトランクの底から紐が顔を出しているのに私は気がついた。

「何これ?」

興味本位で引っ張ってみた。

"Oh, my god!!!"

なんと、バンのトランクのそのまた下に大きなスペースが隠れていたのだ。

みんな大歓声!クレアは"You are a hero!!!"といって熱烈なハグとキスをし、ミシェルは私をひょいと抱えてその場をくるくるくるとすごい勢いで回転し始めた。相変わらずすごい飛んでいる。おかげで私は目が回った。

昨日よりもバンがだいぶスッキリした。少なくとも前が見えるようになった。

ルンルンで出発と思いきや、今度はくるくるミシェルのご機嫌が悪い。ポートランドからずっと運転席後ろの席に座っていたクレアが、ミシェルに助手席を譲るように言ったらしい。

ミシェルは助手席に座って綺麗な写真を撮ったり、デビ男からたくさん話を聞いたり、携帯を充電したりしたかったのだ。ミシェルが当然のごとく助手席に今朝も引き続き座ろうとしたのでクレアが「あんた代わりなさいよ」と言った模様。

すねてしまったミシェルは「助手席の方が脚が伸ばせると思っただろうけど実はこっちの方が足元が広いですよーだ。へへーんだ!」

とやはり小学4年生風に言った😅

実は出発前にクレアが私に言ったことがある。

「ミシェルはもういい大人だけど、あの子は何のルールもなく育ってきた。だから一緒にいてよくわかるの。周りの人の立場を考えない。あの子は面白い子で大好きだけど、もっと人生のガイダンスが必要。私は母親じゃないんだからそんなのは余計なお世話なのかもしれないけど。」

と。日頃から親しくしているクレアとミシェル。親しいからこそ、クレアにとってはミシェルの自由気ままな行動が時に目に余るらしく、機会があればそれを正してあげたいと思っているらしい。

確かに、まだ一緒にいて数日だけど、ご飯を作ったり片付けたりを手伝うのを見たことがない。我が家は赤ちゃんがいるのでなかなか予定通りに行動できないのだが、それにもちょっとフラストレーションが溜まっているように見えた。

だから、今回、助手席を譲るようにクレアが言ったのも、クレアが本当に助手席に乗りたかったというよりは、ミシェルに他の人のことも考えることを気づかせたかったからなのかもしれない。

ミシェルはふてくされて黙っているので、その横に座っているサムは後ろにいる私に話しかけてきた。

「さっきユーチューブで、ファミコンにこだわり続ける人の動画を見ていたんだ。」

と彼は語り始めた。その動画の人は最新のゲームが嫌いで、ファミコンがとにかく好きで好きでたまらないそうだ。サムもその人にとても共感できて、あの、ゲーム内のキャラクターの動きがすごーーーーーーくゆっくりな感じがたまらないらしい。ゲームだけでなく、映画も、DVDではその前にある他の映画の紹介も全部飛ばしてすぐに本編が見れるけど、昔のビデオテープはいつ本編が始まるかわからないから、飛ばさずにずっとそれを見る、その「間」がよかったと。今はすべてが便利すぎて、ちょっとでもパソコンが時間がかかるとすぐにイラっとする。

サム、オタクっぽーい。でも、初めて会った翌日にこんなことを語ってくれるところはかわいいと思った。

いよいよ国境に近づいてきた。ドキドキする。たくさんブースがあるが、どのオフィサーも顔つきが厳しい。

私たちの車が並んだブースには気むづかしい顔をした若い女性オフィサー。パスポートを全員分渡すと、私たちがどういう関係か聞いてきた。緊張した面持ちのデビ男は

「えーっと、妻に初めて会ったのは約10年前にテキサス州で・・・」と答え始めた。

すると、オフィサーがちょっと待って、と遮った。「詳しい馴れ初めまではいらないですよ。」とチャーミングな笑顔で言ったので、私たちもみんな同時に笑った。家族、スカンジナビアからの友達で旅行していること。コンサートが二つあることを伝えたら

「オッケー。楽しんできてください。」

とすんなりカナダ入りを認められた。WOW!!!絶対止められると思っていたのであまりのあっさりさに拍子抜け。でもよかったー。


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